中小企業に対するコンサルティングの流れはどんな内容の支援であれ大まかな流れは以下の通りです。
1、現状把握
2、あるべき姿の設定
3、課題設定
4、課題解決のための施策立案
まず現状を把握します。
経営者からヒアリングしたり実際に現場を見たり、時には財務諸表を分析したり従業員にもヒアリングしたりして現状把握と分析を実施します。
その後、この会社はどうあるべきなのかを考えます。
これは、経営者の想い・従業員の想い・ステークホルダーの想いなどを加味して検討して行きます。
あるべき姿と現状の姿がわかればそのギャップを埋めるための課題設定を行い、課題解決に繋がる具体的な施策を検討して行きます。
今日はこの中で課題設定について考えて行きます。
課題設定で重要なことは、あるべき姿と現状の姿のギャップが発生している本質的な原因を突き止めることです。
例えば、売上が伸びない会社があれば、売上が伸びない原因は何か、これを考えないといけません。
が、漠然と考えてもいい答えにはたどり着きません。
この時、目の前の事象を「掛け算」に分解すると本質的な原因が考えやすくなります。
例えば、みなさまご存知の通りですが、売上は以下の数式に分解できます。(顧客の購買頻度とかを入れる場合もありますが、ここではシンプルに考えます。)
売上 = 単価 × 数量
これでいけば、先ほどの売上が伸びない会社の原因は「単価が低い」もしくは「販売数量が少ない」の2通り考えることができ、課題設定として「単価を上げる」「販売数量を増やす」といった形で、一歩深掘りをすることができます。
さらに掘り下げることができればより本質的な課題設定ができるでしょう。
以上のように、本質を考える上では何事も掛け算に分解するということを意識すると考えやすくなると、個人的には考えています。
先の売上の例は、中小企業診断士の勉強をした方であれば当たり前のように知っていると思います。
しかし、自らでこの掛け算の数式を考える方はそれほどいません。
個人的にはとても勿体無い話だと思います。
中小企業診断士試験の勉強で習った「売上」を数式で分解しよう!ということの大事さは絶対に知っているはずなのにです。
私自身はこの掛け算の式を考えるのがけっこう好きです。
例えば、「商品・サービスが売れる要因」を掛け算にしてみるとこんな感じでしょうか。
購買 = (顧客の)ニーズ × (商品・サービスの)価値 × (顧客の)タイミング
「営業の成果」はこんな感じでしょうか。
営業の成果 = 提案力 × 接触回数
それから、ちょっと志向を変えて、中小企業診断士として稼ぐ力はこんな数式になるでしょうか。
稼ぐ力 = スキル × 経験・実績 × 仕事を創る力
例に挙げたものはちょっと粒度の荒いものもありますが、こうしてまずは何事も掛け算に置き換えてみて、しっくりくるかどうかを考え、さらに深掘りしてみたり、他に要素がないかを考えたりしたりして、自分なりの数式を作り上げていけばいいのです。
数式にオリジナリティを出すことができれば、それはオリジナルのコンサルティング手法として確立することができるのです。
世の中にあるフレームワークも考え方は同じ。
1つの事象を複数の項目に分解して考えやすくしているだけです。
コンサルティングの現場では、様々な事象を掛け算の数式に置き直したらどうなるか、を常に考えないといけないのです。
平阪 靖規
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