先輩診断士たちに実務補習の思い出を語ってもらう企画。
今回は「よっし」様からいただきました。
私は実務補習を19年2月に5日間コースで大阪にて行いました。
我々のグループは大阪、四国、北陸、中部と遠距離のメンバーが多く、その時のメンバーとはなかなか会う機会はありません。
ですので、その時のことを思い出して語らい合うといったこともなかなかできないことから、記憶は簡単に風化していってしまいます。
一度、その時のことを改めて記録する意味を含め、今回体験記にまとめることにしました。
この記事の目次
実務補習の予約
大阪で実務補習を受けるにあたって、ある意味最大の難関となるのが予約です。
大阪では全体の2割、2百名程度が合格していることに加え、近畿圏や四国・岡山といった地方の方も大阪で実務補習を受けるのですが、そのニーズに対して供給が不足しがちだからです。
そのため、口述試験後に先輩から伺った助言に従い、予約を確実に行うため、しっかり準備を行いました。
具体的には予約が可能となる、12月25日の前に事前入力を済ませ、最低限の個所のみ入力すれば予約ができるようにして備えておきました。
また、当日も予約時間に確実に予約できるよう、会議などが無いよう事前調整し当日の10時を迎えました。
準備が無事に報われ、希望通り予約ができましたが、そのすぐ後には予約がいっぱいになりました。
診断士になる前から、情報収集の重要性と、事前準備の重要性を教えて頂いたように思います。
実務補習前
事前準備については、何をしたらいいのかイメージができていなかったことから、受験生支援団体「タキプロ」の実務補習セミナーに参加し、どのようなものであるかを事前に知っておくようにしました。
ここでは、どういった知識を準備しておくべきかといったことを教えてもらい、何冊かの本を勧められました。
今まで事業会社の経理として働いていて、顧客は社内のユーザーに限られていたことから、コンサルタントとしてどのように、挑むべきかという心構えを教えて頂いたと思います。
また、この時に大事だったことは、同期の合格者を知ることが出来たことです。
先輩たちも実務補習のメンバーがすでに知り合いだったという話を伺っていましたが、ここで知り合いを増やすことが出来たことは、大きかったと思います。
目論見通り、タキプロ同期メンバーが同じグループになったからです。
ここで知り合いになっておいたことから、事前に少し打ち合わせをすることが出来ました。
このような準備は、慣れない仕事をする上での心理的ハードルを下げることになったと思います。
実務補習
直前にもらった情報を基に、先生が希望を取り、先生から担当の割り付けを事前にしてもらいました。
それを基に、質問事項を考え、当日に挑みます。
当日、我々のグループメンバーを見てびっくり。
なんと、当時39歳だった私が最年長。
最も若いメンバーはまだ大学生というフレッシュなメンバーでした。
しかし、中身を見ると、初めて参加する私やタキプロ同期といった「年長組」に比べ、「年少組」の大学生や30歳前のリーダーなど、若手メンバーは実務補習2回目と、経験豊富な若手に支えられるという、絶妙なバランスのチームでした。
メンバーでの簡単な打ち合わせを終え、すぐに大阪の南側にある、支援先企業に向かいます。
我々の支援先は、太陽光パネルを住宅の屋根に据え付ける会社。
会社で原子力機器の据え付けを行う私にとっては、ある種ライバルともいえる会社だ。
太陽光パネルは2009年から始まった、太陽光発電の固定価格買い取り制度が10年の期限を迎えようとしていました。
そのため、社長は今のビジネスの重要性を感じていた一方で、今後のビジネスの将来について、悲観した思いを持っていました。
実際、社長仲間が集まる場では、「太陽光はやめておけ」との助言が多かったようです。
我々のグループは取材した結果、太陽光発電というクリーンエネルギーの未来を信じ、それを通じて社会に貢献しようとする支援先企業の理念の素晴らしさを感じました。
何とかこの会社に貢献したいという思いをメンバー全員が共有しました。
しかし、この会社がいいところだけだったということはありません。
倉庫は整理できていませんでしたし、営業職員の活用にも課題があり、社長が全方位的にサポートする必要がある体制となっていました。
このあたりの問題を解決し、この会社の目標達成に貢献するためのレポート作りに挑みました。
私は今まで営業経験がなかったことから、販売担当に立候補しましたが、この分野の知見はありません。
どうやって販売促進を進めたらいいか悩む私に手を貸してくれたのが、メンバーでした。
四国の信用金庫で働くメンバーが太陽光パネルを無料でつけてくれる代わりに、そのパネルで発電した電気を事業者が一定期間無償で利用するというビジネスモデルを紹介してくれたのです。
このビジネスモデルの特徴は、事業者にとって、太陽光パネルを設置するための土地買収を進める必要がないというメリットがある一方、屋根を提供するユーザーにとっては、災害が起きた時には太陽光発電のエネルギーを利用することができることから、災害時にメリットがあることや一定期間が経過した後は太陽光パネルを譲渡されることからユーザーにとってもメリットがあります。
このビジネスモデルは関西にも普及しつつあることに目を付け、このビジネスモデルを軸にレポートをまとめることに決めました。
しかし、このビジネスモデルは強力な事業者がいなければ成立しません。
四国では四国電力の後ろ盾があって、初めて成立しているようです。
そのため、パートナーをうまく見つけることが出来なければ成立できないというのは、提案としては弱いと考え、既存ビジネスモデルの延長線上にある、販路開拓の手段を検討しました。
太陽光パネルは天候などの影響を受け、徐々に劣化していくことから、全ての住戸に対して、メーカーは10年保証を行っています。
しかし、劣化の有無をユーザー側が知ることは困難です。
従って、保守点検を行い、補償対象となる住戸か否かを確認し、その診断結果を元に、メーカーへの求償を求める、というビジネスを支援先はとっていました。
しかし、支援先の課題は、どうやって、その対象を見つけるかです。
もちろん、自社のお客様は顧客データを持っていますが、それでは対象が限られます。
それ以上のお客様を見つけるためにはどうしたらいいかを考え、グーグルマップを活用し、太陽光パネルを設置している住戸にチラシを配ることを提案しました。
元々、支援先はチラシを配っていたものの、思うような成果を得られなかったことから挫折した経験があります。
今回の私の提案は社長の心をつかんだようです。
報告会では、「そんな方法があるのか」と、社長から好意的な反応を引き出すことが出来ました。
その時の社長の笑顔を見ることが出来ただけでも、今回の実務補習に参加した価値があると今でも思います。
実務補習を終えて
5日間の研修は長いようであっという間です。
会社での実務をこなしながら行う実務補習はハードでしたが、素晴らしい仲間に囲まれ、無事に終えることが出来ました。
メンバーとは最後の晩餐会以降、タキプロの同期を除き、会う機会はありませんが、あの時に時間を共有できたことを心から誇りに思います。
また、今回、我々のグループを担当頂いた先生は、終わってから聞いたところ、指導員としては初めてとのことでした。
そんな雰囲気を全く感じさせない、素晴らしいマネジメントぶりと落ち着きに心から驚き、企業内診断士として生きている自分と、独立して働く先生との差を感じました。
この差はいい意味でも悪い意味でも埋まりそうにはありませんが、どうやって埋めていくべきか、少し時間をかけて考えていきたいと思います。
中小企業診断士のための実践コンサル塾事務局
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