こんにちは。
先週、今年の中小企業診断士2次筆記試験の合格発表がありました。
中小企業診断士は、1次試験・2次試験(筆記試験・口述試験)で構成されていて、口述試験はほぼ落ちることがありませんから、2次筆記試験に合格できれば事実上の試験合格といえます。
そして、今年は2次筆記試験に1091名の方が合格されました。
合格された皆様、おめでとうございます!
合格率は18.3%。5人に1人しか受かりませんので、決して簡単な試験ではございません。
これを突破されたわけですから、大きな自信になったに違いありません。
さて、これから皆さんは資格を生かして何をしようと思っているのでしょうか。
色々と想いは巡っていると思いますが、今は目の前の口述試験対策をしているところだと思います。
それから口述試験のあとにはまだ資格登録するまでにもう1つの山があります。
ご存知の通り、中小企業診断士になるためには、単に試験に合格すればいいわけではありません。
試験合格後に15日以上のコンサルティング業務に従事して、その証明書を提出して初めて資格登録となります。(1日の支援を1ポイントとして換算し、登録には15ポイント集めて申請する必要があります。)
ですから、今年合格された皆様は、まずはコンサルティング業務に従事し15ポイントを集める機会を作らないといけません。
具体的にどのように実務ポイントを集めるのかというと、方法は大きく3つあります。。
- 1、中小企業診断士協会が主催する実務補習に参加する。
- 2、民間企業が主催する実務従事に参加する。
- 3、自分の会社もしくは知り合いの会社を支援する。
1つ1つどういうものかを見ていきます。
この記事の目次
中小企業診断士協会が主催する実務補習に参加する。
もっともポピュラーな方法は、中小企業診断士協会が実施する実務補習に参加することです。
直近では、年明けの2月~3月にかけて開催されます。
そもそも実務補習とは何かというと、中小企業診断協会に所属し一定の経験を持つ中小企業診断士が指導員となり、指導員の下で1社あたり5日間の日程でコンサルティング業務を行っていくものです。
5~6人程度で1チームを作り、戦略担当・財務担当・営業担当など機能別に担当を分けて実習を行っていきます。
コースは2つで、「5日間コース」と「15日間コース」。
5日間コースの場合は、1回の参加だけでは登録要件を満たさないため、残り10ポイント分の実習を別途行う必要があります。
7月、8月、9月にも「5日間コース」が開催されますので、これらを組み合して合計15日の実習を行い登録となります。
15日間コースは、2月のみ開催されるもので、2月から3月にかけて1社あたり5日間の支援を3回転(つまり3社の支援)を行い、登録要件を一気に満たします。
これだと3月には15ポイントの実務ポイントがたまるため、4月には中小企業診断士として正式に登録することができます。
15日間コースは、原則チーム替えはなく、指導員も同じ(※)となるため、一緒の班のメンバーは深いつながりになることが多いです。
(※たまに3社別々の先生の指導員のときもあります。)
実務補習の最大のメリットは、もっともオーソドックスなコンサルティングノウハウが学べることだと思います。具体的には
現状分析 -> 課題設定 -> 施策検討 -> 報告書作成
という一連の流れを経験し学んでいきます。
現状分析や課題設定では、SWOT分析などのフレームワークを活用し行っていきますので、これまで学んできたフレームワークの使い方を体験できます。
また、多くの方が実務補習を受けますので、横のつながりをつくるきっかけにもなると思います。
一方、最大のデメリットは会社を休まないといけない日が1社あたり2日発生するということでしょうか。
実務補習は1社あたり5日間で実習と行うといいましたが、初日と最終日は支援企業を訪問します。
この日は当然平日日中帯です。
そして実習は丸々1日かけて行われるため、その日は会社を終日休まないといけません。
5日間コースなら2日間、15日間コースまら6日間、会社を休むというのはお勤めしている方にとっては、なかなかのハードルだと思います。
また実習は1日も休んではいけませんので、仕事の都合がつかないと参加することすらできません。
仕事の都合で実務補習に参加できず、せっかく合格したのに資格登録までとても時間がかかってしまったというのはよく聞く話です。
また、実務補習はどの先生にあたるのか、どのような企業を支援するのかなどの選択権は受講生にありません。
場合によっては、はずれ・・・だったなっと感想をお持ちになる方もいます。
とはいえ、協会が主催しているものですので、求められる報告書のレベルは一定水準より高く、報告書作成のため終電まで追い込まれながら頑張られている方がたくさんおられます。
この経験はこれから中小企業診断士として歩んでいく上では貴重な経験になることと思います。
民間企業が主催する実務従事に参加する。
実務補習に参加できないと資格登録できないと勘違いしている方が多いのですが、そんなことはありません。
民間企業が主催する実務従事に参加しても同じように登録に必要な実務ポイントを得ることができます。
民間企業が行う実務従事は色んなパターンがあります。
- 無料のもの、有料のもの。
- 参加者が何十人になるものから、少数でチームを組むもの。
- インストラクターががっつり指導してくれるもの、参加者の自由に任されているもの。
- 支援テーマが総花的なもの、特定のテーマに絞られているもの。
- 毎月定期的に開催されるところ、不定期に案件がある時のみ開催されるところ 等々
とにかく色んな会社や団体が色んな形で実施していますので、ネットで「実務従事」や「中小企業診断士 実務従事」と検索して調べてみてください。
実務従事のメリットは、参加者の参加しやすい時間帯(平日夜や土・日)で開催されているものが多く、会社を休まなくても参加できる点だと思います。
また、支援企業の情報・支援テーマが募集段階でオープンになっていることが多いため、興味のあるテーマを選んで参加することもできます。
最近だとテレビ会議等を使って遠方からでも参加できるような工夫をしているところも多いです。
一方でデメリットは、実習の質がバラバラですから、実務ポイントはもらえたけど後につながるようなスキルやノウハウは学べなかったり、参加者が多すぎて関与の度合いがすごく小さいものになってしまうなどがあげられます。
デメリットはありますが、日程の都合で実務補習には参加できない。でも早く中小企業診断士の資格に登録したい!という方は、実務従事を活用するのがいいのではないでしょうか。
ちなみに、弊社でも「CFJの実務従事サービス」を提供しています。
弊社の実務従事サービスの特徴は、有料のサービスとなりますが、会社を休まずに参加でき、少人数のためモチベーションの高い参加者が多く、インストラクターによる講義も充実しているいるため、中小企業診断士として活躍するためのスキル・知識を学ぶには最適な内容になっているというものです。
毎月開催しており、支援テーマとして旬な話題を掲げて行っていますので、ご自身のスキルアップしたいテーマを選んで参加いただくことが可能です。
もしご興味ありましたら、サービスページ「「CFJの実務従事サービス」をご覧ください。
自分の会社もしくは知り合いの会社を支援する。
お金かけたくない!時間もかけたくない!!でも早く資格登録したい!!!
となれば、ご自身の会社や知り合いの会社を支援して、実務ポイントを得るという方法もあります。
自分が代表を務める会社を支援したことにするのはNGですが、他人が代表を勤め、実務ポイントの証明書に代表印を押してもらえるのであれば、簡単に15ポイント分集めることも可能です。
資格登録する場合は実際に支援した内容(提案書や報告書など)を出す必要はありません。
捺印された実績証明書(実務ポイントが書かれた用紙)を提出すればいいので、(極論支援を実際にしていなくても・・・)ハンコさえもらえれば登録できるというわけです。
ですから、皆様の会社や周りに社長の知り合いがいて、そこが中小企業(個人事業主でも可)に該当するなら、この方法もありだと思います。
ただ、実務補習や実務従事に参加することで、プロのコンサルタントのノウハウや仕事の獲得方法などを盗むチャンスを逃すことになるので、15ポイント分すべてこれにするのはおススメいたしません。
1回くらいは実務補習・実務従事に参加し、それでも足りないポイントを補くくらいに使った方がいいかなとは思います。
まとめ
今回、3つの実務ポイントの取得方法をお伝えしました。
これらは 組み合してもかまいません。
実務補習で5ポイント、実務従事で10ポイント、あわせて15ポイント取得!とか、実務補習で5ポイント、実務従事で6ポイント、残りは知り合いの社長を支援して15ポイント取得!!でも登録は可能です。
ですから、ご自身のライフスタイルと将来展望などと照らし合わせて検討してみてください。
とはいえ、結局どれを選べばいいの??っていう方がいるかもしれません。
私個人的な意見を述べさせていただきますと、
まずは実務補習に参加できるかどうか。
最低でも1社は実務補習に参加してベーシックな診断実務を経験することをおススメいたします。
ただ、正直3社とも実務補習である必要があるかというと微妙です・・・
実務補習で作る診断報告書ではお金は取れないので、この作り方をマスターしても独立はできません。
ですから、独立を目指す人は特にもっと別の角度からの経験を積まれた方がいいでしょう。
そして、実務補習で登録要件を満たさない場合は、民間の実務従事サービスを検討する。
その際は、単なる実務ポイントを取得することだけを目的とするのではなく、なんらかの支援スキルが身につけられるもの、1社あたりに関与する人数が多すぎないもの(多くても10名弱。理想は4~6名くらい)あたりを軸に探してもらえると失敗は少ないと思います。
ちなみに、弊社では実務従事サービスを提供していますが、個人では実務補習の指導員としても登録しています。
指導員向けの事前の情報によると、今年の実務補習の定員(東京)は昨年より数十人単位で少なくなっています。
申込が遅れると定員オーバーで申込できなかった・・・となるかもしれませんので、お気を付けください。
そして、実務補習・実務従事、いずれかでもしかしたらお会いするかもしれません。
その時はよろしくお願いいたします ^ ^
平阪 靖規
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