中小企業診断士の資格を生かしコンサルタントとして独立するためにまずやらなければいけないことは「中小企業に対する経営支援の実績」を作ること。
筆者の独立する前の職業はITエンジニア。
いわゆるシステムエンジニアという立場で、(どちらかというと)大手企業のシステム導入のプロジェクトマネジメントやインフラの設計・構築を行っていました。
そのため、中小企業の社長という立場の人と話したこともなければ、経営支援なんてやったことはありませんでした。
しかし、中小企業診断士として公的機関の仕事であれ、民民契約の仕事であれ、何かしら仕事をやるには「実績」を作る以外ありません。
中小企業診断士になって1年目。まだ企業内診断士だったころ。
なんとなく診断士として独立したいな…って思いだしたころ。
すでに独立診断士として活躍されていた先輩診断士に教えてもらった、今でも心に残っている一言があります。
「独立したかったら、この1年間で経歴書が真っ黒になるくらい支援実績を積んでみな」
このときの私は、独立をするには実績を作らないといけない。
実績を作るには経営支援ができる場を作らないといけない。
とにかくこの1年は経営支援ができる場を作っていこう!と決心しました。
しかしながら、経営支援ができる場を作るには実績がないとできないのでは…
これは鶏が先か、卵が先かの問題なのでは・・・なんてことを考えたりもしましたが、いざ中小企業診断士の世界に飛び込んでみれば実績を作れる場ってけっこう転がっていたのです。
研究会に参加したら先輩診断士から経営支援やってみない?と声をかけてもらえたり、お金払ってプロコン塾に参加したら診断実習があったり、協会や民間のコンサル会社が実施している実務従事に参加すれば実績がつめたり…。
とにかく動いてみたらたくさんチャンスはありました。
作りたい実績を想定して動くと実際にそうした案件が舞い込んできたりもしました。
たとえば、資金調達の実績を作りたいと思ったときは、参加していた研究会で「ウナギ屋さんの新規出店のための資金調達の支援をしませんか」という案件の募集と出会いました。
飲食店の販路開拓支援をしたいと思ったときは、東京協会の実務従事案件で「中華料理屋さんの経営支援」案件の募集と出会いました。
もちろん、速攻で手を挙げて参加しました。
こんな感じで「業種の切り口」「支援テーマの切り口」という2つの切り口から色んな実績を積むことだけを考えて動いていました。
関与の濃淡は様々です。
すべて自分が中心で支援したものばかりではありません。
アドバイスのほとんどを先輩診断士が作ったものもあれば、先輩診断士の横でちょろちょろさせてもらってクライアント先の訪問に同席しただけのものもあります。
でもこれらも実績は実績。少しでも自分が関与しているのであれば、1つの実績として経歴書に書くことはできます。
やってないことを実績として語る(つまり嘘)のはダメだけど、多少盛るくらいはありだと思います。(さも自分が中心で支援したような感じで実績を書くイメージでしょうか…)
こうして中小企業診断士として1年間(実質は8カ月くらい)で、経歴書に書きまくれる実績をたくさん積むことで、コンサルタントして独立できるチャンスを得ることができました。
気付いてみれば、実務ポイントは100ポイントくらいたまっていたように思います。
あの時、先輩診断士が教えてくれた「独立するなら経歴書が真っ黒になるくらい実績を積め!」、本当にその通りでした。
そこに、私からのアドバイスを2つ付け加えるなら、
「実績を作るなら、お金を払ってでも作れ!」
「実績は狙って作るもの。業種(飲食業、製造業など)と支援テーマ(マーケティング、資金調達など)の2軸で狙いを定めよう!」
待っていては、時間がかかります。でもお金をかけることでその時間を限りなく短縮することができます。
少しでも早く独立したいと思っている方、まずは実績作りのために、お金をかけてでも動いてみましょう。
そして、少し動き出した後は、どんな実績を作っていくか、狙いを定めて動きましょう。
これこそが独立への最短距離なのではないでしょうか。
平阪 靖規
最新記事 by 平阪 靖規 (全て見る)
- 8月5日(月)20時よりYouTubeの生配信をいたします! - 2024年8月2日
- 中小企業政策の新たな方向性「100億企業への成長」 - 2024年7月2日
- 認定支援機関になると仕事は増えるのか。 - 2024年6月20日
- 経済財政運営と改革の基本方針2024(原案)から読み解く次年度の予算 - 2024年6月15日
- 中小企業診断士として独立までのロードマップを描いてみよう。 - 2024年6月12日