私の思い出シリーズ

「実務補習が始まる前は期待と不安が入り混じり」~実務補習の思い出:曽我部 尚様

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この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

先輩診断士たちに実務補習の思い出を語ってもらう企画。
今回は「曽我部 尚」様からいただきました。

はじめに

私は、2月の実務補習(2/7~8,2/16~18 5日間コース)で5ポイントを、CFJ様の実務従事で12ポイントを獲得し、10月付で中小企業診断士として登録しました。
実務補習が始まる前は期待と不安が入り混じり、ネットで情報収集したり落ち着かない日々を過ごしました。
これから実務補習を受講する皆様の気持ちも同じだと思います、少しでもお役に立てれば幸いです。

実務補習前(事前準備)

私が実務補習前に準備したものをまとめました。
【必須】

  • モバイルノートPC:軽量で持ち運びの際に負担にならないものをお勧めします、重いほど移動の際辛さが増します。
  • MSOffice:少なくともWord、Powerpointは、用意しましょう。

【推奨】

  • モバイルWifi、デザリング:私が参加した神奈川地区は実務補習会場のWifiを無料で使用できましたが、万が一の時の備えにもなりますし、あればとても便利ですのでお勧めします。
  • SNSアカウント(Facebook、LINE)を用意しておくと実務補習メンバーとコミュニケーションが取りやすいです。
  • ファイル共有サービス:DropBoxを使用して、資料・レポートを共有しますので、事前にアカウントを作成しました。

【その他】

  • 事情により会社の名刺は使用できませんでしたので、個人名刺を用意しました。
  • 診断先へ訪問する際は、ビジネススタイル(スーツネクタイなど)必須です。
  • Wordについて、操作に長けていると成果物(レポート)作成や取りまとめの際に非常に重宝されます。逆に操作に不慣れだとそれだけでついていくのが大変ですので、不安な方は事前に簡単な入門書などを読んでおくのをお勧めします。

実務補習前(担当決定など)

指導員からの連絡(ファーストコンタクト)

1月下旬になっても何も連絡がなくそわそわしていたところ、実務補習初日のおよそ1週間前に、指導員よりメールが届きました。
内容は、

  • 実務補習の注意事項(守秘義務など)
  • メンバーの担当パート(戦略、人事、財務、販売、店舗、IT)の説明
  • 診断先企業の概要(業種、規模、現在抱えている問題点、課題など)
  • リーダー(班長、副班長)の募集などです。

<注意>
「指導員からのメールが迷惑メールフィルターに入っていて気づくのが遅れた」などメールの見落としトラブルを耳にしたことがありますのでご注意を!

担当割り当て

  • 実務補習は、指導員1~2名、実習生:5~6名で一つの班です。
  • 私の班は、6つの担当パート(戦略、人事、財務、営業、店舗・商品管理、IT)をそれぞれ分担しました。
  • 担当パートの割り当てはメンバーの立候補で決めました。
  • リーダー(班長)は、全体の取りまとめ役や診断先でのヒアリングやプレゼンの際の司会進行などを担当します。だれも手を挙げないと年長者に割り当てられそうでしたので、どうせ私が年長者だろうと勝手に想像し、やらされるくらいならと自分から手を挙げました。
  • メンバーの中に、実務補習経験者(前年度合格者)がいらっしゃいましたので、副班長としてサポートしていただけることになりました。

副班長からは以下のようなアドバイスを頂きました。

  • 班長は今後のスケジュールについて概要を提案してほしい。
  • 班長が各メンバーへ指示する際は、①だれが、②何を、③いつまでに、やるのかを明確にするように。

指導員からは、班長は全員が積極的に情報発信できるような雰囲気づくりをするようにとの指示がありました。
私の所属した班では、指導員が用意したML(メーリングリスト)やDropBoxを利用して情報・資料を共有しました。

ヒアリング準備について

指導員より、実務補習初日までに診断先へのヒアリング内容を取りまとめるよう指示がありました。

診断先企業について

診断先企業は、神奈川県内の介護サービス事業会社でした。
事業内容の見直しに伴い売り上げが減少しており、既存事業の立て直しと新規事業立ち上げによる売り上げ回復が喫緊の課題です。
また、人手不足のため、優秀な人材確保にも迫られています。

情報収集

実務補習前は、診断先の企業名など詳細は開示されず、業種、規模(従業員数、年商)、抱えている課題程度の情報しか得られませんでしたのでネット検索をして探りを入れることができませんでした。
介護業界は全く未知の世界でしたので、「業種別審査事典」で該当する業種をピックアップし、一通り目を通しました。
尚、「業種別審査事典」は、千代田区立図書館(最寄り駅:九段下駅)にて閲覧できます。

ヒアリング準備

メンバーに、担当パート毎のヒアリング事項の作成・提出をお願いしました。

  • 提出の際は各自でABCランクをつけて優先順位を明確にする。
  • 班長はヒアリング事項をとりまとめたヒアリングシートを作成する。
  • 実務補習の前々日までにDropBoxの共有フォルダへアップ、ヒアリングシートを印刷し持参する。

☆事前にヒアリング項目を整理しておくことで、実務補習初日の打ち合わせ時間を短縮できました。

実務補習(1日目)

オリエンテーション(全体)→顔合わせ

東京地区の実習生全員赤坂TKPに集合、全体のオリエンテーション後、メンバーと顔合わせ・名刺交換しました。
簡単な自己紹介後、指導員から全般的な注意事項、訪問先の概要(この時点で初めて企業名などがわかりました)のレクチャーがありました。
その後、診断先ヒアリング事項の打ち合わせをするため、赤坂から横浜へ移動しました。

打ち合わせ→診断先ヒアリングへ

診断先にヒアリングに伺う前に、横浜の実務補習会場でヒアリング事項の打ち合わせをしました。
打ち合わせの際に留意したのは下記2点です。

  • 全員が発言するように配慮する。
  • 重複質問を防ぐため予め用意した質問事項リストをベースに質問事項を絞り込む(ABCランクを参考)。

診断先ヒアリング

診断先では指導員の指示に従います(名札を着用する、PC操作はNG、名刺交換はしない)。
ヒアリングは、班長の司会進行により行います(各担当パートの時間配分に注意しました)。所要時間は2時間程度だったと記憶しています。
終了後、翌日のスケジュールを確認して現地解散しました。

初日の感想

実務補習(2日目以降)

2日目以降は、原則実習生主導で進行します。
作業をスムーズに進めるためにメンバー間で確認した事項を紹介します。

ゴールから逆算したスケジュール策定、担当の割り振り

ゴールから逆算したスケジュール策定、担当割り振りをしました。
最終的に何を、いつまでに作成しなければならないのかを確認し、早々に役割分担を決めました。

  • 成果物の内容(章立て、項目など)を確認し、誰がどの章・項目を担当するのかかなり早い時点で決めました。
  • 4日目の午後に最終確認→印刷終了を目標にスケジュールを決めました。
  • 各担当パートのレポートのチェックに時間がかかることを想定し、早めにレポート作成するよう確認しました。
  • 各メンバーの役割分担を明確にしました。

(例)報告書マージ担当、Excel資料マージ担当、受講記録記入担当、製本・会計担当、議事録担当

ルールの共通化

書式面でのトラブル回避、チェック時間短縮のため、共通のWordテンプレートを使用し、見出し、書式(フォントの統一など)、図表の通し番号のルールなどを共通化しました。
(例)「です。ます。」調。カタカナは全角。年は和暦で統一等々細かいルール決め。

窓口の一本化

追加質問窓口を一本化しました。
診断先企業への追加質問の窓口を一本化(班長と副班長経由のみ)かつ1回のみに限定しました。

チェック体制の強化

チェックの厳重化、複数人チェックを徹底しました。
各担当のパートは少なくとも2名でチェックしました。
誤字脱字は絶対NG、書式の些細なミスもなあなあで済ませず、ミスがゼロになるまでチェックを何度も繰り返しました。

オープンな雰囲気作り

困っていること、問題点などを抱え込まずオープンにする雰囲気づくりをしました(コミュニケーション)。
ML以外にグループLINEをつくり、気軽に情報交換するようにしました。

これらを徹底した結果、作業は順調に進み、4日目の午後5時過ぎに最終製本が終了し、5日目は余裕を持って最終プレゼンに臨むことができました。
副班長より前回実習を受けた際の経験に基づいた的確なアドバイスをいただけたのがとても役立ちました。
全体的な進め方は勿論、書式の統一など初めて受講したメンバーでは気づきにくい細やかな点を丁寧にアドバイスしていただき本当に助かりました。

実務補習を受けた感想

良い出会いに巡り合えたこと

実務補習メンバーとは、互いに良い関係を築くことができました。
実務補習の作業だけでなく、ランチや飲み会などを通じて日を追うごとに仲良くなり、今も年に数回会って近況報告する間柄になっています。
指導員の先生も人間的に尊敬できる方で、何気ない会話の中でも様々な気づきを得ることができ大変感謝しています。

あらためて自分を客観的に見つめなおすことができたこと

診断士試験に合格した直後は一種の高揚感に包まれてしまいがちですが、実務補習でこれまでであったこともない業界の方、バックグラウンドをお持ちの方と接することで、自らの至らない点を突きつけられたように感じました。
診断士試験合格がゴールではないことを痛感させられました。

支援企業のお役に立てたこと

診断先へはWebサイトの改善などを提案させていただきましたが、実務補習終了後しばらくして診断先Webサイトを訪問したところ、私の提案した改善案が採用されていました。
改善案が結果につながったかは分かりませんが、試験合格者に過ぎない人間の提案を快く受け入れていただいた社長に感謝するとともに、微力ながらも少しはお役に立てたかもしれないと嬉しく思いました。このことは一生忘れないでしょう。

これから実務補習を受ける方へ一言

同期、先輩の診断士との最高の出会いの場だと思います、良い縁に巡り合えるように願っています。

以上

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