まだ独立したばかりのころ、色々な公的機関に登録している方の名刺をみて、すごいなぁと漠然と思ってました。
○○産業振興財団 登録専門家
○○振興センター 登録専門家
○○産業振興公社 登録専門家 ・・・・
名刺にこれでもかというくらいご自身が登録されている先の公的機関の名前がびっしり詰まっているのです。
こんなに色んなところに専門家として登録されていて、さぞ色んなところから声がかかっているんだろうな…
と思っていたのですが、自分が公的機関の仕事に携わるようになってわかったことがひとつあります。
名刺に肩書きたくさん書いてる人は対して公的機関の仕事はしていない。
登録専門家の仕事は、書類だけ送ればとりあえず登録させてもらえるところと仕事ありきで声がかかった時に初めて登録ができるところの2パターンあります。
ですから、書類だけ送れば登録させてもらえるところに片っ端から登録すれば、登録専門家と名乗ることはできるのです。
しかしながら、登録だけしても仕事のお声はかかりません。
なぜなら、専門家を選定する上で、よく知らない人に仕事振るのは怖いから。
専門家を選定する立場の人になって考えてみてください。
この人は事業者さんの前に連れて行って大丈夫な人だろうか。
この人はちゃんと報告書を書いてくれる人だろうか。
支援制度のことをきっちり理解してやってくれる人だろうか。
色々と不安なことだらけなため、そうすると結局いつもお願いしている人に声をかけよう!となってしまうのです。
ですから、しっかり仕事をこなせば、また声がかかる可能性は高いので、なんどもリピートをしてもらえるとも言えます。
逆に、1回目の仕事がイマイチの場合、もう声をかけないでおこうと・・・なることもあります。
私自身も、今は公的機関で専門家派遣をコーディネートする立場にいるため、今度の案件は誰に派遣をお願いしようかと悩むことも多いです。
上述のことがありますので、なんだかんだで登録されている知らない人より、まだ登録していないけど知っている人にお願いして、新たなに登録専門家になっていただくことの方が多いです。
とはいえ、知らない人だけど登録されていればお願いしたい!と考えるパターンもあります。
それは、業界特化で専門性の高い人。
「○○業界に詳しい人から支援してほしい」
というオーダーを事業者さんからお願いされることもあります。
私の経験であったパターンとしては「葬儀業界」の専門家がありました。
知り合いに葬儀業界の専門家なんていないし、どうしよう・・・・と思っている時に、知らない方ながら経歴だけをみてお願いしたというケースです。
とは言え、これは稀なパターンです。
1つのところでしっかり結果を出せば、そこからリピートがきますので、そんな節操なく登録する必要はありません。
ですので、今では「登録専門家」の肩書きをたくさん書いている人を見ると、なんとなく仕事ないんだなぁって思ってしまいます。
せめて名刺に書くなら、一度でも仕事をしたことがあるものだけにした方がいいかなと個人的には思ったり。
そして、色々と登録することより、濃い密度でつながれるよう、登録した先には顔を出すとか、派遣専門家を選ぶ立場の人と繋がるとか、考えて行動しないといけませんね。
平阪 靖規
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